転職活動中に「固定残業(みなし残業)」という言葉を耳にしたことはありませんか?この記事では、固定残業が何か、そのメリット・デメリット、さらに注意すべきポイントについて具体的に解説します。この記事を読むことで、自分に最適な転職先を見つける手助けにしていただきたいと思っています。固定残業の仕組みを理解することで、給与や働き方に関する条件をより明確に把握することができます。
固定残業(みなし残業)とは?
固定残業(みなし残業)を解説
固定残業代制とは、毎月の基本給に加えて固定残業代(定額残業代、固定残業手当)を必ず支給する制度です。「みなし残業代制」とも呼ばれます。固定残業代制には、時間外・休日・深夜労働の割増賃金について基本給の中に含めて支払う方法(基本給組み入れ型)と、一定額を手当として支払う方法(手当型)があります。固定残業代制を導入するには、以下の要件が必要です。
- 固定残業代制の合意があること。
- 通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分を判別できること。
具体例:
- 固定残業時間は月30時間
- 固定残業代は月4万5000円(1500円×1.25×30時間)
1か月の残業時間が30時間以内であれば、時間数にかかわらず4万5000円の固定残業代を受け取れます。一方、1か月の残業時間が30時間を超えた場合、超過分について追加で残業代が支払われます。例えば、1か月の残業時間が40時間だった場合、追加の残業代1万5000円(1500円×1.25×10時間)が支払われ、残業代の総額は6万円となります。
みなし残業(固定残業)導入のメリット
残業代計算が不要になる
企業がみなし残業を導入すると、規定時間分までの残業代については計算が不要です。例えば、「月20時間の固定残業を給与に含む」という規定で働く従業員が残業をした場合、残業時間が5時間でも20時間でも、支払う給与の金額は変わりません。これにより業務の効率化が図れます。
人件費を把握しやすくなる
みなし残業を導入することで、残業代が固定され、給与額の大幅な変動を抑えられます。これにより、企業は人件費を正確に把握でき、事業予測や資金繰り計画を立てやすくなります。
業務効率が向上する可能性
みなし残業を導入すると、残業をしてもしなくても従業員に支給される給与額はほぼ一定です。「残業しても給与は同じだから、テキパキ仕事を終わらせて定時で帰ろう」と考える従業員が増え、結果として生産性が向上する可能性があります。
従業員の生活が安定する
みなし残業導入は、従業員の給与が一定レベルで安定することを意味します。これにより、従業員の生活の安定に寄与でき、求人の際にも魅力的な条件を提示できます。

みなし残業(固定残業)導入のデメリット
人件費が上昇する可能性がある
みなし残業のデメリットは、一定レベルの残業代支給があらかじめ決まっているため、人件費がその分かさむ点です。従業員の残業時間が上限に届かなくても、固定残業代を含んだ給与を支払わなければならないため、あまり残業が発生しない企業では人件費が上昇する原因となり得ます。
サービス残業が横行するリスク
みなし残業制度に対する理解が不十分な場合、従業員が「残業代は固定されていて給与に含まれているから、それ以外の残業代は支給されない」と誤解し、サービス残業が横行する恐れがあります。企業の労務担当者は、みなし残業に対する正しい知識を従業員に周知し、適切な勤怠管理を行う必要があります。
長時間労働に結びつきやすい
管理者側で「一定時間内は残業をさせても問題ない」「一定の残業代をもらっているのだから定時退社させるのはおかしい」といった誤解が生じやすい点がデメリットです。みなし残業制度を導入していても、従業員の労働時間は原則1日8時間、週40時間が上限であることを忘れてはいけません。
固定残業代制で働く場合に注意すべきポイント
基本給・固定残業代の計算方法・固定残業時間が明示されているか
固定残業代制を採用する場合、基本給と固定残業代の計算方法、固定残業時間が明示されているか確認が必要です。
例:
- OK: 月給30万円(基本給22万5000円、固定残業代7万5000円)
- NG: 月給30万円(固定残業代含む)、固定残業時間30時間
NG例では、固定残業時間は記載されていますが、月給額に固定残業代がどのくらい含まれているかが明記されていません。この場合、企業側は固定残業代の金額も明示する必要があります。
固定残業時間を超えた場合、追加残業代が支払われているか
固定残業時間を超過しているにもかかわらず、追加残業代が支払われていない場合には、未払い残業代が発生している可能性があります。弁護士に相談して未払い残業代の請求を検討しましょう。
過剰な残業を強要されていないか
固定残業代制が採用されているからといって、労働者が固定残業時間いっぱいまで残業する義務はありません。過剰な残業を強要する企業はブラック企業の可能性があるため、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。
基本給が最低賃金を下回っていないか
固定残業代を含めた額面賃金が高額に見えても、基本給が最低賃金を下回っていないか確認しましょう。最低賃金に違反している場合、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

まとめ
固定残業制度について理解することは、転職活動を行う上で非常に重要です。この記事では、固定残業の概要、企業側と従業員側のメリット・デメリット、そして注意すべきポイントについて詳しく解説しました。
例えば、固定残業制度を導入することで企業は残業代の計算が簡略化され、人件費の予測がしやすくなります。一方で従業員にとっては給与の安定が図れますが、過剰な労働時間を強要されるリスクも存在します。
転職活動においては、固定残業代が含まれている求人情報をよく確認し、その計算方法や時間数、超過分の扱いについても明確に理解することが求められます。この記事を参考にして、あなたに最適な転職先を見つけてください。